2025年12月に日弁連に提出したCOP30報告書から編集しました。
2025年11月、ブラジル・ベレンで開催された「国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(UNFCCC-COP30)」に、オブザーバーとして和田重太弁護士とともに、日本弁護士連合会(日弁連)から派遣されました。気候変動訴訟、環境法、人権問題が交差する現場を、弁護士の視点からご報告します。
現地へはリオデジャネイロを訪れた後、アマゾン河口の都市、ベレンへと向かいました。
リオデジャネイロにて — 国際法曹協会(IBA)・ブラジル弁護士会によるプレCOP30

ベレンへ向かう途中、リオデジャネイロで、IBAとブラジル弁護士会によるプレCOP30に参加しました。和田重太弁護士が日本の弁護士法1条(人権擁護・社会正義の実現の使命)について発表すると、参加者から大きな拍手が起こりました。
IBAの本体の年次大会はカナダ・トロントで開かれており、多様な問題のうち気候変動については、カナダ・トロントとオンラインでつながれました。気候変動は人権問題であり、司法の場で法曹がリードとなって解決すべきだとする裁判官の話が印象的でした。
COP30本会議(ベレン)|気候変動・人権・脱炭素の現場から

ベレンでは、主に環境法・人権分野のセッションを中心に参加しました。COP30議長団とオブザーバーによるタウンミーティングが開催されていました。
日弁連が所属するRINGO(Research and Independent Non-Governmental Organizations:UNFCCC公認の研究・独立系NGOの連合体)の発言では、ベレンの宿泊施設不足や高額な費用などが問題提起されました。議長側からは先住民の参加しやすさとのバランスを考慮した旨の回答がありました。
RINGO構成員向けの会議では、熱波による健康被害についての報告がありました。WHOも関与するこの分野での国際的な連携強化が求められているとのことでした。

グリーンゾーン(開催国管理・一般参加可能区域)では各国の活発なディスカッションが行われており、アマゾンの上流などの先住民の参加者も多く見られました。中でも印象深かったのは、ブラジル南部の洪水被害を人権問題として取り上げたブラジルのPublic Defender(国選弁護人)オフィスの活動です。気候変動による被害が、すでに人権侵害として法的に具体的に扱われていて、素晴らしいものでした。今後も、このような活動要請が増えるだろうと実感しました。
各国代表によるNDC(国が決定する温室効果ガス削減目標)に関するスピーチでは、気候変動による被害の深刻さを強く訴える声が相次ぎました。その他、日本や韓国のパビリオンでは若者による脱炭素への取り組みの発表もあり、次世代の環境意識の高さを頼もしく感じました。

日本パビリオンでは、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)の枠組みでアンモニア混焼技術に関するパネルディスカッションが行われました。しかし同日夕方、日本は「化石賞」を受賞しました。化石賞とは、気候変動対策に後ろ向きな国に贈られる賞で、130カ国、1800以上の団体からなる世界最大の気候変動NGOである気候行動ネットワーク(CAN:Climate Action Network)が受賞者を決定しています。会場内ではピカチュウと恐竜の着ぐるみによるパフォーマンスが繰り広げられ、多くの参加者が足を止めていました。再生可能エネルギーへの移行が急務とされる中、日本のエネルギー政策のあり方が改めて問われています。
会期中は、排出権取引に携わる石油会社の担当者や気候変動関連の損害を扱う損害保険関係者、アマゾンの守り手である先住民の若者、果敢な日本の高校生・大学生など、多様な分野・国や地域の方々と交流することができました。気候変動問題が、法律・金融・保険など暮らしや人権に幅広く影響することを肌で感じた滞在でした。
